3.2
昔から電車や地下鉄、モノレールが嫌いだった。
右耳からも左耳からも色んな人の声や言葉が入ってきて、その沢山の声の上に重なるように
アナウンスの音声が脳みそに響く
前を向くと沢山の広告が並んでいる
視線を下ろした先には
目の前の人のリュックポケットから少しだけ飛び出したピカチュウのぬいぐるみ
隣の人の香水の匂いがエアコンの風と共に僕の体の前を通過する
この香水の匂いあまり得意じゃないな
そうやって
視覚 聴覚 嗅覚 全てから入ってくる情報一つ一つに
脳みそが過剰に反応して
気分が悪くなってくるこの感覚が
昔から凄く苦手だった。
情報に頭をぐるぐるさせていると、降りる駅は数駅前に通り過ぎていて。
きっと僕が隣の人の香水の匂いを気にしていたあの時くらいには、もう降りる駅だったのだろう。
そんな理由で、移動は基本タクシー。
免許も持ってないから車も無いし、けどきっと免許をとって運転したところで頭の中の情報が整理できなくなったら、事故を起こしてしまう気がするから
運転はしないと決めている
そんな僕だが
今日は何故かそういう乗り物に乗りたくなった。
理由はわからない
むしろ凄く疲れていて、今日は誰とも関わりたく無いとすら思っていたのに
頭の中に浮かんできたのは、電車の中の空気だった。
そんな日もあるらしい。
歩く事も大嫌いだけど
外を歩いてみる事にした。
歩き始めて5分後には
もう疲れていたけれど、歩いて、ただ周りを見て、体に風を感じると、少しだけ頭がスッキリしたように感じた。
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力の加減が凄く苦手で、
すぐにいっぱいいっぱいになる
生きる上で色んな意味で
バランス感覚のある人間を見ると
凄く羨ましくなる
むしろ昔はそういう人達を
憎んでいた気がする。
嫉妬していたんだろう。
妬みでしかないのは分かっていたけど、
自分のバランスの悪さをとてつもなくコンプレックスに感じていたので、彼らは僕みたいな辛さを味わずに生きていていいなとか
そんな事を思っていた
でも最近は、そのバランスの悪さを使いこなせるようになってきた
むしろそのバランスの悪さこそ最強のバランスなんじゃね的な
このおかしすぎるバランス感覚を魅力に出来るんじゃないかと考えるようになってからは
自分の事も少しだけ好きになれた
コンプレックスすらも武器にしてしまおうと
否定的な自分すらも肯定して仕舞おうと
それでやってみた。
肯定してみた。
そしたら最高に最強に自己中心的な超絶我儘人間が出来上がった気がする(全然良くない
でもなんか
今の方が楽しい
自分の意見溜め込んで自分に嘘ついてヘラヘラしながら生きてた時より
今の方が全然楽しい
今日はちょっとだけ歩くの頑張ったので
ローソンのアイスカフェラテにシロップ三個いれて自分へのご褒美にした。
自分を嫌って自分を怒って自分を侮辱してばかりだったので
これからは自分を褒めてあげて自分を認めてあげて向き合っていけたらなと思った
ちなみにアイスカフェラテを買った時に思ったけど
何でもかんでも千円払って小銭が入りきらなくなるくらい小銭使わないこの癖はほんとどうにかした方がいいぞ僕
財布もうちぎれそう👛