1.18
成人式の日の朝。
僕はあまり清々しい気分ではなかった。
特に理由はないのだけれど、なんとも言えない複雑な感情を抱いていた。
成人になれたという気持ちと、成人になってしまったんだという気持ち。
自分でもマッチする言葉が見つけられないけれど
その日は何故か、元気がなかった。
15分ほどボーッとした後、眠い目をこすりながらお風呂場へと向かった。
振袖の事を考えたり、今日1日の予定を考えたりしていると、ふと顔の周りが重いことに気づいた。
寝ぼけていたのか、マスクを外し忘れたままお風呂に入っていたのだ。
水を含んで重くなったマスクを外したが、気分は重いままだった。
その後も、気合を入れてメイクをしたものの、自分の顔がとてつもなく気に入らなかったり、お腹が痛くなったりと、とてもめでたい日の朝とは思えないテンションだった。
20年間を振り返った。
人生の五分の一くらいの時間しか生きていないのに、色んな事があったようだ。
たった20年と言われるかもしれないが、
僕は凄く長い時間に思えた。
生まれた時の白紙な僕に環境と自我と関わった人間とで色んな色が混ぜられて
その度に色が変わっていく。僕という人間の色は常に常に変化していく。
色が変わる度にその色の僕が正解なのかを悩み、正解などないことを知っていながらも、自分自身に丸や罰を付けて、独りよがりに苦しんだりした。
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親と子の関係は、とても特別で凄く複雑だと感じる。
血は繋がっていても、それぞれ違う人間であり、
それぞれ違う人間でありながらも、血の繋がった肉親なのである。
私は昔から母の事を、全く違う性格の全く理解できない人、という風に思っていた。
親なのに何故こんなにも違うのだろう。
親なのに何故こんなにも合わないのだろう。
この人のこういう行動が本当に理解できない。
そんな気持ちばかりで、いつもいつも揉めていた。
喧嘩をしても常に平行線で、呑んで酔ってわーわー言っている親をいつも嫌がっていた。
それでも、愛を感じる事も多く、だからこそ泣いても泣いても嫌いにはなれなかった。
中学高校と思春期を乗り越え、成人になった僕に心境の変化があった。
沢山の変化を繰り返し大人になった僕は、
昔僕が理解出来ないと思っていた母親に、似ているところがいくつも出来ていたのだ。
ずっと嫌だと思っていた母親の嫌いなところまで、
そっくりだと周りに言われた。
親子とは不思議な関係だ。
小さい頃、夜中に母親に連れていかれて2人でカラオケボックスに入り僕が横になって眠っている中、
母親が泣きながら歌っていた曲を最近思い出し
探してみた。
Coccoさんの強く儚い者たちという歌だった。
歌詞を理解できる年頃でもなく
ただ聴き心地がよく素敵な曲だとだけ思っていたが、改めて歌詞を見ると、その時に母が泣いていた理由を想像して涙が止まらなかった。
人生はやはり、辛いものなのかもしれない。
その中で小さな幸せを探しながら日々歩いていくのだろう。
辛いことも沢山あったと思うけど、
20年間、こんな僕を見放すことなく一生懸命育ててくれたお母さんお父さんありがとう。
20歳まで生きれたので、次は25歳まで、
色んな色になりながら自分の好きな色を見つけていこうと思います。
成人おめでとう僕。